
経済産業省が10月31日に発表した今冬の電力需給予測によると、冬の節電要請は実施しない方向です。また、2026年1〜3月使用分の電気・ガス代に対して、政府による補助が再開されます。足元の予測から中長期的な見通しまで、電力需給の状況について幅広く解説します。
今冬の節電要請はなし 電気代の補助も再開
経済産業省・資源エネルギー庁によると、2025年冬季の電力需給は、北海道・東北・東京エリアでは、2026年1〜2月にかけて一次的に厳しい見通しが予想されるものの、全国的には安定供給に必要な電源を確保できるとされています。気象庁は、今冬の気温は全国的に平年並みが高い見通しとしており、予報通りであれば、節電の要請を行う必要はないとされました。また、10月21日に発足した新政権では、物価高対策を第1の柱としており、2026年1〜3月使用分の電気・ガス代について緊急支援が再開されることになりました。
このように、今冬は電力需給のひっ迫などによる極端な電気料金の高騰は予想されていません。また、限定的に政府による補助も再開されますので、電力コストの高止まりといった課題を一次的には回避できるかもしれません。しかし、これらの要素は流動的なものであり、長期的な視点に立つと、省エネなどの取り組みの重要性には変わりありません。
データセンターにより中長期的に電力需要は増加

(【参考】今後10年の電力需要の想定。出典:資源エネルギー庁)
中長期的に見ると、これまで、人口の減少や省エネ性能の向上などによって、日本の電力需要は減少すると考えられていました。しかし、今年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、これまでの予想から一転して、日本の電力需要は増加するとされました。
その背景には、デジタル化の進展や生成AIの活用によって、データセンターの需要が高まっていることが挙げられます。資源エネルギー庁によると、2034年度の全国における最大電力需要は、データセンターや半導体工場の新増設などに伴って、2024年度と比べて約4%増加するとされています。
データセンターでは空調による電力需要が多くを占めると考えられることから、今後、こうしたエネルギー消費効率の改善も求められるでしょう。そのため、必ずしも政府の予測通りに電力需要が増えるとは限りませんが、これまでの大きな流れから一転して、電力需要が増加する見通しが示されたことは、大きなターニングポイントだと言えます。この先は、増加する電力需要に対して、どのように電源を確保していくかが、より一層重要性を増していくでしょう。



