九州電力は2025年4月から、高圧・特別高圧の電気料金メニューを見直すとしています。対象となる電気料金メニューや適用の時期など、変更内容について詳しく見ていきましょう。
夜間の電力量料金単価が値上げに
九州電力は2025年4月から、高圧・特別高圧の電気料金メニューの単価を見直します。対象となるメニューは、業務用電力A、産業用電力A、業務用季時別電力A、産業用季時別電力Aなど、高圧以上のすべてのメニューで電力量料金単価が変更されます。変更後の単価の一例は、下図の通りです。

(対象メニューと見直しの例(単位:円/kW、円/kWh)。出典:九州電力株式会社)
注意すべき点は、業務用・産業用季時別電力Aにおいて、夜間の電力量料金単価が大幅に値上がりする点です。値上げ額が3.1円と大きいため、昼間と夜間の単価差が小さくなります。これまで、工場や事業場などでは、電力量料金単価が安い夜間に、あえて設備を稼働するケースがありました。しかし、夜間の単価が値上げされるため、今年4月以降は、従来のような電気料金の削減効果が期待できない可能性があります。
市場価格調整を毎月実施へ
電力量料金単価に加えて、燃料調整費単価の計算方法も変更になります。燃料費調整とは、世界的な燃料価格や為替など、電力会社の責任によらない価格変動を電気料金に反映させるもので、航空や船舶の燃油サーチャージと似た仕組みです。燃料費調整の中には、電力卸市場の価格変動を反映する市場価格調整という項目が盛り込まれています。
これまで、市場価格が6〜13円/kWhであれば市場価格調整を行わないとされてきましたが、今年4月からは、毎月、市場価格調整が実施されます。
25年4月以降の契約更改から見直し後料金を適用
九州電力によると、今回の電気料金メニューの見直しは、電力の需給構造の変化があるとされています。電力の供給側では、太陽光発電などの出力が変動する再生可能エネルギーが増加しています。再エネの供給量が需要量を超える際には、再エネの出力抑制が実施されており、九州の24年度の出力制御率は、全国でもっとも高い6.2%に上る見通しです。
一方で、電力の需要側では、太陽光発電の自家消費などが進んだことで、昼間の電力需要が減少するとともに、夜間の電力需要が増加しつつあります。こうした背景から、夜間の電力量料金が増額されたと考えられます。
これらの電気料金メニューの見直しは、25年4月以降の契約更改の時期に合わせて需要家ごとに適用されます。個別の契約によって適用の時期が異なるため、自社の契約期間などを改めて確認しておきましょう。