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タンデム型太陽電池とは?シリコン系とペロブスカイトの“いいとこどり”

「タンデム型太陽電池」は新時代の太陽電池。これまでの太陽光パネルの欠点を補う救世主として注目されています。タンデム型太陽電池の仕組みやメリットについて見ていきましょう。

タンデム型太陽電池 相乗効果で効率アップ

「タンデム」という言葉は、自転車やバイクの2人乗りという意味で使われますが、本体は「縦につないだ、直列の」という意味を持ちます。この言葉通り、タンデム型太陽電池とは、異なる種類の太陽電池を直列につなげたものです。

例えば、現在主流であるシリコン系太陽電池と、新しい技術であるペロブスカイト太陽電池を組み合わせたものは、タンデム型ペロブスカイト太陽電池と呼ばれます。シリコン系太陽電池製品の発電効率は現在、20%前後です。また、シリコン系太陽電池の効率は、理論上29%が限界だとされています。そのため、異なる種類の太陽電池と組み合わせてタンデム型とすることで、発電効率をさらに向上できると期待されています。発電効率がアップすれば、より少ない面積で多くの発電量を得ることができるようになります。

なお、ペロブスカイト太陽電池については、こちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。(参考:ペロブスカイト太陽電池とは?FIT/FIPの新区分の創設を検討

コストと耐久性の課題 解決に期待

従来のシリコンとペロブスカイトを組み合わせたタンデム型太陽電池は、実用化に向けた研究が進んでいます。ペロブスカイト太陽電池は、塗膜によってさまざまな形状にできる一方で、耐久性の低さが課題だとされています。タンデム型とすることで、こうした課題を補うことができると考えられています。

その一方で、タンデム型太陽電池は新たな仕組みであるため、製品化にあたってのコストの低減がハードルの1つになると考えられます。現在、広く普及しているシリコン系太陽電池は、大量生産によって価格が下がっています。しかし、後発の技術であるペロブスカイト太陽電池はまだコストが高く、タンデム型太陽電池に加工するためのコストも発生します。タンデム型ペロブスカイト太陽電池が新時代の太陽電池として普及するには、コストの低減の課題は避けては通れません。

また、前述した通り、ペロブスカイト太陽電池には耐久性の課題があります。太陽電池は屋外で使用されますから、台風などの災害にも耐えられる性能が求められます。これは、ペロブスカイト太陽電池を使ったタンデム型太陽電池の場合も同様に課題となります。

このように克服すべき課題はあるものの、新たな技術の進展には大きな期待が寄せられており、国や自治体も補助制度を通じて支援を行っています。今後の技術やコストダウンの進展、製品化の行方が注目されます。