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再エネ併設蓄電池とは? FIP制度や収益化の仕組みを解説

蓄電池ビジネスが盛り上がりを見せていますが、これからは、太陽光発電所に蓄電池を併設するビジネスモデルが注目されると考えられます。太陽光発電所に蓄電池を併設すると、どのようなメリットがあるのか、どのようにして収益を上げるのか、詳しく解説します。

再エネ併設蓄電池とは

「再エネ併設蓄電池」とは、太陽光発電所などに併設する蓄電池のことです。太陽光発電は天候によって発電の出力が左右されます。晴れた日の日中は多く発電しますが、朝夕の発電量は多くなく、夜間は発電しません。

しかし、太陽光発電所に蓄電池を併設すると、任意のタイミングに充電・放電できるようになります。再エネ併設蓄電池と相性が良いのが、FIP(フィード・イン・プレミアム)制度です。再エネ併設蓄電池で収益を上げる仕組みを知るには、まず、FIP制度の仕組みを把握することが重要です。

再エネ併設蓄電池と相性が良いFIP制度

(FIT制度とFIP制度における発電事業者収入。出典:経済産業省・資源エネルギー庁

FIP(フィード・イン・プレミアム)制度とは、FIT制度の進化形として2022年4月に開始されました。FITでは、発電した電気を固定価格で買い取るのに対して、FIPの買取価格は電力卸市場の価格に伴って変動します。電力卸市場の価格にプレミアムを加算したものが、FIPの買取価格になります。

その電力卸市場の価格は、電気の需要と供給のバランスによって決まります。例えば、太陽光発電が多く発電して、電気の供給が需要を上回る日中は安くなり、太陽光発電があまり発電せず、電気の需要量が多い朝夕などは高くなる傾向にあります。

このように、FIPにおける買取価格は常に変動します。そのため、FIP発電所が収益性を上げるには、できるだけ買取価格が高いタイミングに売電する工夫が必要です。そこで、太陽光発電所に蓄電池を併設し、買取価格が高い時に売電し、買取価格が安い時に蓄電池に貯める運用方法が注目されているのです。

また、FIT認定期間の途中でも、FIPへと変更することが認められています。そのため、FITからFIPへ切り替えて、蓄電池を併設する事例が増えています。国も、再エネ併設蓄電池に対して補助金を出すことで、FIPへの移行を後押ししています。なお、FIPの対象となる太陽光発電は基本的に50kW以上です。

再エネの出力抑制があっても収益を上げやすくなる

さらに、2026年度には、再エネ出力抑制のルール変更が予定されています。再エネの出力抑制の順番はこれまで、FIT・FIPともに「バイオマス発電→太陽光・風力」でしたが、「バイオマス発電(FIT→FIP)→太陽光・風力(FIT→FIP)」という順番に変更する方向性が示されています。つまり、FIP発電所は出力抑制の対象になりにくくなるのです。

太陽光発電が多く導入されている九州では、出力抑制の比率が6.2%(2024年度実績)と、全国的に見ても高い水準にあり、この水準は25年度も続く見通しです。こうした背景からも、FIT発電所と比べてFIP発電所の方が収益を上げやすくなると考えられています。

再エネ併設蓄電池に適した発電所は?

前述した通り、FITからFIPへ切り替えて蓄電池を併設する太陽光発電所が登場しています。FIPでは、プレミアムを算出するための基準価格としてFIT認定価格が維持されることから、FIT認定価格が高い初期の案件が有望視されています。

その一方で、蓄電池の設置には新たな設備投資が必要です。その投資を回収するのに十分な、FIT/FIPの認定期間が残っていることも必要な条件です。また、FIPでは発電計画の作成や提出が義務付けられます。これはFITでは特例として免除されていたものです。こうした作業にかかるコストも考慮する必要があり、注意が必要です。