2025年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金は3.98円/kWhで、過去最高額となりました。また、今年4月から電気料金メニューが見直しされるなど、電力コストの削減には課題が山積みです。電気料金に関する現状と課題を整理し、次のアクションを考えます。
2025年度の再エネ賦課金は過去最高額に
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の2025年度の単価は、3.98円/kWhとなり、昨年度の3.49円/kWhから0.49円の増額です。これは、2025年5月から2026年4月検針分までの電気料金に適用されます。
再エネ賦課金は、FIT・FIPの買取費用から電力卸市場の実績額などを差し引いて算出しますが、近年、市場価格が低く推移していることから、再エネ賦課金が高くなっています。この先も市場価格が低い状況が続けば、再エネ賦課金が高止まりする可能性があります。
九電・季時別Aの夜間単価の値上がりの影響
その一方で、九州電力は今年4月から、高圧・特別高圧の料金メニューの一部で従量料金単価を値上げしました。料金メニューの見直しについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。(参考:九州電力、25年4月から高圧以上の電気料金を見直しへ | 後藤電気)
この料金改定によって、産業用・業務用季時別Aでは、夜間の従量料金単価が3.1円/kWh上がり、昼間の単価との価格差が小さくなりました。夜間の従量料金単価が適用されるのは、
平日の22時〜8時、日曜・祝日などです。これまでは夜間の単価が低かったため、あえてこれらの日時に工場や設備の稼働をシフトしていた事業所もあるでしょう。そうした事業所では、従来のような電気料金の削減効果が期待できなくなりました。これは、生産計画や勤務シフトなどにも関わる大きな変化だといえます。
また、産業用・業務用季時別Aの値上がりによって、自社に適した電気料金メニューを再度選び直す必要も発生するでしょう。しかし、産業用・業務用季時別Aは新規受付が停止されており、いったん産業用A・業務用Aに切り替えると、再び産業用・業務用季時別Aに戻ることはできません。
市場連動プランへの切り替えはしっかりと確認を
こうした状況の中で、需要家が電気料金コストを削減するには、信頼がおける小売電気事業者への切り替えや、省エネによる電気使用量の削減の重要性が高まっています。新電力などの間では、電気料金が卸市場価格に連動する、いわゆる「市場連動プラン」などを提案するところもあります。足元では、特に九州の市場価格は安値で推移していますが、気象条件などによっては価格高騰のリスクがあります。こうしたリスクをどのようにヘッジするのか、また、契約期間や違約金の定めなど、「市場連動プラン」を選択する前にしっかりと確認することが大切です。