このほど行われた太陽光第23回入札(2024年度第4回)では、加重平均の落札価格が5.06円/kWhと、過去最低の価格になりました。安値で入札が行われる背景には、電力調達契約(PPA)があると考えられています。
大規模案件の安値入札で加重平均が過去最低に
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は3月7日、太陽光第23回入札(2024年度第4回)の結果を公表しました。入札の対象は250kW以上のFIP(フィード・イン・プレミアム)で、事前に公表された上限価格は、1kWhあたり8.98円でした。
募集容量93MWに対して144MW・43件の応札があり、募集容量と同量の93MW・5件が落札され、いずれも特別高圧でした。最高落札価格は6.98円/kWh、加重平均落札価格は5.06円/kWh、最高落札価格は4.47円/kWhでした。
落札した5件のうち、真名子太陽光合同会社(29.90MW)が4.47円/kWh、ヘップエスピーブイ16ジャパン株式会社(29.91MW)が5.00円/kWhで応札しており、落札額を引き下げる要因になったと考えられます。
なお、前回の太陽光第22回入札では、募集容量93MWに対して落札は56MW・23件で、加重平均落札価格は8.17円/kWhでした。前回と比べると、今回の平均落札価格は3円以上安く、いかに大幅に低下したかがわかります。
FIPで安値での入札が行われる理由は?
今回、落札価格が低くなった背景には、特別高圧の大規模な案件が安値での入札を行ったことが挙げられます。直近の電力卸市場の平均価格は12.29円/kWh(2024年度システムプライス)であり、加重平均落札価格はこれを大きく下回っています。では、なぜ事業者はこのような安値で応札するのでしょうか。
もちろん、産業用太陽光発電の価格は下がってきており、2023年度時点で9〜11円/kWhとするデータも報告されています。しかし、今回の落札価格はこれを下回る水準です。
理由の1つとして考えられるのは、FIPで認められている電力調達契約(PPA、パワー・パーチェース・アグリーメント)の併用です。PPAでは、需要家との間で15〜20年間などの長期にわたって、あらかじめ決めた価格で発電した電力量を買い取ることを約束します。そのため、PPAの価格によって発電所の投資・運用にかかるコストを回収できれば、安価でFIPの入札をしても問題がないでしょう。
FIPの売電先との交渉に時間がかかる場合に、あらかじめFIP入札に参加しておくケースもあると考えられます。こうした背景から、安値で入札するケースがあると考えられています。
(参考:太陽光第 23 回入札(令和6年度第4回)の結果について 電力広域的運営推進機関)