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ペロブスカイト太陽電池とは?FIT/FIPの新区分の創設を検討

次世代型の太陽電池として「ペロブスカイト太陽電池」が注目されています。フィルム型などでさまざまな場所に設置できることに加えて、国内にある材料で製造できることから国産化に向けた動きが活発になっています。ペロブスカイト太陽電池をめぐる支援制度の動向についても解説します。

ペロブスカイト太陽電池とは?

(ペロブスカイト結晶構造)

現在、太陽光パネルとしては黒くて四角い「シリコン系(Si)太陽電池」が一般的です。実は、太陽電池にはシリコン系の他にもいくつかの種類があり、有機系太陽電池の1つがペロブスカイト太陽電池です。

もともとペロブスカイトとは、上図のような特定の結晶構造のことです。ペロブスカイト太陽電池は、主に、有機アンモニウム、鉛、ヨウ素がペロブスカイト結晶構造で配列したものを使って発電する太陽電池のことをさします。主原料の1つであるヨウ素は、日本が世界シェア26%を誇り、世界第2位の主要生産国です。そのため、国は、ペロブスカイト太陽電池の国産化を目指しています。ペロブスカイト太陽電池の発電効率は現在、26.7%まで向上しており、現在のシリコン系太陽電池の発電効率と遜色がないくらいにまで開発が進んでいます。

ペロブスカイト太陽電池は、フィルム状にしたり、皮膜としてさまざまなものに塗布したりすることが可能です。軽量であることから、ビルの壁面やガラス、柵、塀など、これまで太陽光パネルの設置が難しかったところにも搭載できるようになると考えられています。現在、シリコン系太陽電池を使った太陽光発電所に適した土地が少なくなっており、ペロブスカイト太陽電池は設置場所が限定的であるという太陽光発電の課題を解決できると期待されています。

資源エネルギー庁がFIT/FIPの新区分創設を検討

国は、ペロブスカイト太陽電池の国産化を目指して、これまで研究開発費用などの補助を行ってきました。実用化に向けては今後、FIT/FIP制度にペロブスカイト太陽電池を対象とした買取区分を新設することを検討すると表明しています。

2025年度のFIT買取単価は、住宅用太陽光発電で15円(税抜)/kWh、事業用太陽光発電では、規模や設置方法によって買取単価が異なり、8.9〜11.5円(税抜)/kWhとされています。ペロブスカイト太陽電池の買取価格は未定ですが、発電コストや国民負担を考慮して決定されるものと思われます。


12月17日に公表された「第7次エネルギー基本計画(原案)」では、ペロブスカイト太陽電池のコストを25年までに20円/kWh、30年までに14円/kWh、40年までに10〜14円/kWhとすることを明記されました。国産のペロブスカイト太陽電池が世界中で活用される未来を目指して、今後ますます取り組みが熱を帯びていきます。

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