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FIP制度ってどんな制度?話題の「FIP転」についてもわかりやすく解説

再生可能エネルギー発電設備の導入を後押しする国の制度として、FIP制度が注目されています。これまでのFIT制度とどのように違うのか、どのようなメリットや注意点があるのか、気になっている人もいるでしょう。そこで今回は、FIP制度や、FITからFIPへの移行を指す「FIP転」について、わかりやすく解説します。

そもそもFIPとは?

(出典:資源エネルギー庁)

FIP(フィード・イン・プレミアム)とは、発電した電気を卸市場へ売却したり、他の事業者との相対契約で取引したりした量に対して、国が一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度です。

これまでは、再生可能エネルギー設備で発電した電気は、固定価格で売電するFIT(フィド・イン・タリフ)制度が主流でした。しかし、FIT制度は、再生可能エネルギーが普及していない段階においての支援制度です。将来的には、国の支援がなくても、再生可能エネルギーも他の発電方法と同じように、電力市場で取引されるようにならなくてはなりません。

再生可能エネルギーが価格競争力のある電源になるために、より電力市場に近い制度として設けられたものがFIP制度です。FIPでは、市場価格にプレミアムを加算したものが売電収益となります。市場価格は、さまざまな影響を受けて常に変動するため、それに伴って、売電収益も増減します。固定の買取単価が決められていたFITと比べると、FIPはより変動要素が多い制度だと言えます。

FITからFIPに切り替える「FIP転」とは

もともと、FIT制度の認定を受けていた発電所は、FIP制度へと切り替えることができます。これが、いわゆる「FIP転」です。FITでは、買取単価が1kWhあたり◯円と決められています。FIPに切り替えると、この単価を「基準価格」として引き継ぐことができます。

FIPのプレミアムは、「基準価格 ー 参照価格」という数式で求められます。前述の通り、基準価格はFIP認定単価です。参照価格は、前年度の市場価格をもとにしたものです。そのため、FIP転の場合には、もとのFIT認定単価が高いほど、大きなプレミアムが期待できるということになります。

FIP転をした方がメリットがあるケースは?

(出典:資源エネルギー庁)

FIP転を検討する際に、見落としてはいけないのが再エネ出力制御の影響です。出力制御の時間帯は市場価格が0.01円/kWhになるため、FIPでは、出力制御時の売電収益はほぼ見込めません。しかし、出力制御時のプレミアムは、それ以外の時間帯に割り当てられるルールになっています。

つまり、出力制御のない時間帯の収益構造は、「市場価格+プレミアム+調整後プレミアム」の3階建てになるのです。調整後プレミアムは、出力制御の量によって係数が掛けられることになっています。そのため、出力制御の多い月ほど調整係数が大きくなり、調整後プレミアムが期待できるという仕組みです。

このことから、出力制御が多く見込まれる九州や中国エリアなどでは、今後、FITよりもFIPの方が収益を期待できる可能性が高まっていると言えるでしょう。

FIP転には蓄電池の併設が効果的

出力抑制のない時間帯の「3階建て」のメリットを十分に受けるためには、太陽光発電所などに蓄電池を併設して、売電するタイミングをコントロールできるようにすることが有効です。出力制御は、朝8時から夕方4時や5時まで実施されるため、太陽光発電のみでは、出力抑制のない時間帯に発電を集中しにくいからです。

もちろん、蓄電池を設置するには初期投資がかかるため、FIPによる収益で蓄電池のコストを回収できるかどうかをしっかりと見極めることが大切です。蓄電池の投資回収期間を考えると、FIT認定期間が十分に残っている発電所の方が、FIP転に適しているでしょう。また、近年はFIT買取価格が下がっているため、FIP転をして収益を向上させる方法も効果的だと考えられます。

認定価格やエリアなどを含めて検討を

FIP転にあたっての具体的な手続きは、資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー電子申請」から行うことができます。FIP転の申請が認定された後に、移行元の設備の廃止届出が必要です。

FIP転をする場合には、FIP制度をよく理解して手続きを行うことが必要です。FIPでは、FITでは特例として免除されていた発電計画の提出が義務化されます。そのため、毎日の発電計画を作成し、提出する作業が新たに発生します。こうした義務をどのように順守するのかについても、事前にしっかりと検討しておく必要があります。

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